直腸がんについて
大腸は直腸と結腸に大別されます。直腸がんは大腸がんの一種ですが、痔などの良性疾患でも同様の症状が現れます。肛門付近で生じるため、肛門鏡などで効果的な検査ができる場合があります。直腸がんは大腸がん全体の50%を占めるほど発症数が多く、結腸に生じる大腸がんとは複数の点で違いがあります。
直腸がんの中にもポリープから進行するものがありますが、健康な粘膜に直腸がんが生じる場合もあります。進行すると腸管が狭くなって便が通過しづらくなる、穿孔が起こって腹膜炎が起こる、潰瘍が起こって出血が生じるなどの症状が生じ、次第に別の臓器への転移が起こります。
症状
- 血便
- 激しい便意と下痢
- 排便時の痛み
- 残便感
- 細い便が出る
直腸がんの自覚症状で一番起こりやすいのが血便です。肛門付近からの出血によって真っ赤な血便が出て、血液がそのまま出る場合もあります。なお、血便などの自覚症状が現れない場合もあります。特に、発症間もない直腸がんは自覚症状が少ない傾向にあります。
また、痔など(特に内痔核)でも血便の症状が現れるため、正確に鑑別する必要があります。
診断
血便だけでなく、便潜血検査陽性となった場合も一度ご相談ください。直腸がんの診断では、大腸カメラ検査を実施し、病変組織を採取して病理検査を実施することで、確定診断が可能です。最適な治療のためには病変の範囲を確認することも必要です。
治療
病変の範囲に応じて最適な治療方針は異なるため、病変の範囲を確認することが重要です。
粘膜より下層に浸潤していない場合は、内視鏡で病変を取り除きます。病変が広範囲に及び、粘膜より下層に浸潤している場合は、肛門側から局所切除ができるケースと開腹手術をしなければならないケースに分けられます。肛門の温存の可否は非常に重要なため、注意深く方針を定めます。切除手術だけでなく、化学療法や放射線療法なども補助的に実施する場合もあります。局所再発を防ぐために、骨盤内リンパ節の広範囲切除や骨盤内放射線照射を行うこともあります。一般的な大腸カメラ検査で発症間もない直腸がんを見つけることが可能で、がん化リスクがあるポリープが見つかれば取り除くことでがんの発症を防ぐことにもなります。