肛門の病気について

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肛門の病気について

おしりから血が出る病気について(西広島タイムス)


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・おしりから出血する病気の多くは、「肛門の病気」と「大腸の病気」に分けられ、その病気の種類は様々です。
・肛門の病気で出血する代表例は「いぼ痔」と「切れ痔」です。排便時に痛みを伴う場合は切れ痔で、痛みがない場合はいぼ痔のことが多いです。
・大腸の病気で出血する代表例は「憩室出血」、「大腸炎(虚血性腸炎/潰瘍性大腸炎/クローン病など)」、「大腸がん」です。大腸の病気といっても、必ずしもお腹の症状(腹痛や排便異常など)を伴うとは限らず、お腹の症状が全くない場合もあります。
・一般的に、血の色が新鮮血(きれいな赤色)であれば肛門から、赤黒い場合は腸からの出血と認識されていますが、必ず一致するわけではありません。出血が長く続いたり、頻回になったり、粘液が付くなどの症状がみられる場合は、大腸がんが隠れていることもありますので、痔と思い込まずに早めに専門医を受診しましょう。

 

表:肛門から出血する大腸肛門の病気

   肛門の病気  腸の病気 
出血の性状  新鮮血(きれいな赤色)  赤黒い血液 
代表的な病気

 
いぼ痔  憩室出血 
切れ痔  大腸炎 
直腸肛門部腫瘤 
大腸がん 

 

肛門の病気について

おしりから膿がでる病気『痔ろう』(西広島タイムス)

 

おしりから膿がでる病気『痔ろう』のコラムが西広島タイムスに掲載されました。(2020.12.03)

 


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・肛門周囲膿瘍は、肛門の奥にある小さなくぼみに、ばい菌が入ることにより突然腫れてしまう病気です。
・膿を出すことで完全に膿瘍が消失しまうこともありますが、肛門内のくぼみと排膿した穴との間にばい菌のトンネル(瘻管;ろうかん)が残ってしまうことがあります。これを「痔ろう」と呼びます。
・症状は、痛みや腫れ、膿が出るなどがあります。
・検査は、肛門エコー(超音波)検査、CT、MRIなどです。
・瘻管が残ってしまうと自然治癒は期待できないため、根治手術が必要となります。手術をしないで炎症を繰り返すと、瘻管の本数が増えたり枝分かれするなど、複雑になってしまうため、治療が難しくなります。複雑な痔ろうは、入院治療が必要となりますが、単純なものであれば日帰り手術が可能です。
・おしりの穴付近から膿が出る場合は、放置せず早めに専門医の受診をお勧めします。

 

 

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『いぼ痔の治療』(西広島タイムス)


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いぼ痔(痔核)の種類は内痔核と外痔核があります。ざっくりとした見分け方は、押し込むと肛門内に戻るのが内痔核で、戻らないのは外痔核です。

治療は、症状が軽いうちは軟膏などの薬物療法を行いますが、症状が進行すると外科治療が必要となります。痛みや出血は薬で軽減することが多いですが、徐々に進行した脱出症状を薬で抑えることは困難です。外科治療は、内痔核には注射で治す硬化療法(ALTA療法)と痔核切除術がありますが、外痔核には硬化療法を行うことができません。

痔核の程度によっては日帰り手術も可能ですが、仕事などは、術後数日程度は無理のない範囲に調整するなど、術後ケアをしっかりできる環境を整えることをお勧めします。

表:術後の注意点

  ALTA療法 痔核切除術
①仕事 重労働〇 軽作業〇
②排泄 便秘・下痢を防ぐ
③飲酒 飲酒×(1週間)
④清潔
入浴 ◎


【ALTA(アルタ)療法】

 



【結紮切除術】

 

 

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『子供のおしりトラブル』(西広島タイムス)


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子供も大人と同様に痔になることはあります。「ウンチに血が混ざる」、「ウンチを痛がる」、「おしりが腫れている」など症状は様々です。
 
男の子には、痔ろう(肛門周囲膿瘍)が多く、1歳くらいまでの赤ちゃんに多く現れる症状です。肛門の横が赤く腫れ、触ると痛がります。切開して膿を出すと治まりますが、繰り返すことが多いのが難点です。根治手術は通常必要ありません。
女の子は、硬い便による切れ痔が多いのが特徴で、通常は軟膏などで治療が可能です。
 
硬い便になるのは、食物繊維や水分不足が原因となりますが、遊びに夢中になったり恥ずかしさなどから、いわゆる“後回し”にすることも便秘となります。うまくトイレのタイミングを作れないことや、生活リズムの変化、運動不足、ストレスが加わることも原因とされています。
便秘が長引くと、切れ痔以外にもいぼ痔が生じることもありますので、海藻類やキノコ類のほか、お子さんに取り入れやすい乳酸菌飲料などを積極的に取り入れることをお勧めします。
一度痛みを覚えると、怖がって排便を我慢していることもありますので、お子さんの便通を時々確認されると良いでしょう。

 

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おしりから『粘液・水が出る病気』(西広島タイムス)

おしりから『粘液・水が出る病気』のコラムが西広島タイムスに掲載されました。


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お尻から粘液(粘っこいゼリー状の液)や水分が出てきたり、意図せずに漏れて肛門周りが湿っぽく感じる場合があります。

大腸の病気では、潰瘍性大腸炎などの炎症、大腸がん、直腸脱などが挙げられます。
肛門の病気では、内痔核、痔ろう、肛門周囲炎、肛門がんなどが挙げられます。

大腸の粘膜は、元々粘液で保護されていますが、脱出や病気により炎症を起こすことで、粘液分泌が増加します。また、肛門周囲の皮膚も、便の付着によるかぶれや、紙で擦りすぎることで浸出液や粘液が発生します。つまり、粘液が出る場合は、大腸や肛門の病気の可能性があるので注意が必要です。診断は、肛門鏡や大腸内視鏡を行います。

一方で、粘っこくないサラサラした水分が漏れる場合は、ウォシュレットの使い過ぎの場合があります。ウォシュレットを長時間あてると、自然に直腸内の水分が漏れ出ることがあり、慢性化すると肛門周囲炎が生じる場合があります(ウォシュレット症候群)。

粘液が出る方、特に血液が混じる場合は、早めに専門医の受診をお勧めします。

 

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おしりが腫れる病気ついて (西広島タイムス)

おしりが腫れる病気ついてのコラムが西広島タイムスに掲載されました。


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おしりが腫れる病気はいくつかあり、対処法が異なるので注意が必要です。

肛門のすぐそばに腫れがある場合です。寒い季節や飲酒する機会に多いのは、「血栓性外痔核」です。これは、肛門の血流が悪くなり、血液の塊(血栓)ができる病気です。皮膚の下に青い血栓が見える場合があります。入浴などで温めると痛みも腫れも軽減しますが、腫れが大きい場合は軟膏が有用です。

肛門より少し離れた場所が腫れる病気です。この病気は、「肛門周囲膿瘍」といい、膿がたまることで熱感と強い痛みが生じます。感染が原因のため、温めたり、軟膏を使用しても治癒することはありません。治療は、抗生物質を服用するか切開して膿を出します。

いぼ痔が脱出して戻らなくなった場合は、「嵌頓痔核」といいます。いぼ痔の血流が悪くなり、腫れてしまうことで発症します。入浴して温まると、肛門が緩み、戻せることがあります。

いずれの病気も自宅での対処で改善することは少ないため、長引く前に早めの受診をお勧めします。

 

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肛門エコー検査について (西広島タイムス)

 

肛門エコー検査ついてのコラムが西広島タイムスに掲載されました。

 

 


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肛門エコー検査は、主に『肛門周囲膿瘍』や『痔ろう』を詳しく調べることが可能です。

➤ 「肛門周囲膿瘍」は、肛門のすぐそばに膿がたまり、腫れている部位を触ると痛みを生じる病気ですが、まれに肛門の縁よりかなり深い場所で膿がたまり、表面が全く腫れない場合があります。そのような診断が難しい症例でも、肛門エコーをすると、膿のたまった位置や量を画像で正確に確認ができます。

➤ 肛門内のくぼみと排膿した皮膚の穴との間にトンネルが残ると「痔ろう」となります。このトンネルの本数や、枝分かれの有無は、触診のみではわかないこともあり、痔ろうの精密検査でも肛門エコーは有用です。痔ろうは再発が多い病気ですが、エコー検査を組み合わせることで治療効果を高めることが可能です。


肛門エコー検査は、診察時にいつでも行うことができます。
 

【左: 膿瘍・痔ろうの説明図とエコー画像】 
【右: 肛門超音波検査器】

 

    

 
 

 

肛門の病気について

おしりにできる”できもの”について (西広島タイムス)

 

肛門の病気ついてのコラムが西広島タイムスに掲載されました。

 

 


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肛門のまわりに“できもの”が気になった方は少なくないと思います。
一時的にできて消えるものや、何十年もずっとあるものなど様々です。
おしりにできたからといってすべてが痔ではありません。
肛門の病気の他、直腸の病気、皮膚の病気など種類は様々です。

 ・しこりや硬い豆のようなもの

 ⇒
血栓性外痔核、
  スキンタグ(皮膚のたるみ)
  見張りイボ
  肛門周囲膿瘍など
 ・肛門の穴から出てくるもの
 ⇒いぼ痔(痔核)
  肛門ポリープ
  直腸脱
  直腸ポリープ
  直腸がん
 ・皮膚の“できもの”
 ⇒粉瘤
  単純性ヘルペス
  尖圭コンジローマ
  皮膚がんなど

肛門は、自分でみることができない場所のため、病気の状態の把握が難しく、恥ずかしさもあり病院に受診するタイミングが遅れがちになります。治療が早期に必要な病気もあるため、自己判断は禁物です。特に、徐々に大きくなる場合や出血が続く場合は、早めに専門医の診察をお勧めします。

 

 

肛門の病気について

切れ痔の治療について (西広島タイムス)

 

切れ痔の治療についてのコラムが西広島タイムスに掲載されました。

 


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切れ痔は裂肛(れっこう)といい、主に硬い便により肛門の出口付近の粘膜が切れてしまい発症します。

多くは排便の調整と外用剤(坐薬や軟膏)で治癒しますが、繰り返すと徐々に硬い瘢痕や肛門ポリープを形成し、難治性となります。

一旦、慢性化した裂肛は元には戻らず根治術が必要となります。

治療法は①肛門拡張術 ②裂肛切除術 ③側方内括約筋切開術 ④肛門形成術
などがあり、瘢痕などの付随病変の程度や狭窄の度合いによって治療法を選択します。

 

いずれも日帰りで治療することが可能ですが、高度の狭窄を伴う場合は入院での治療が必要となる場合があります。

【日常生活の注意事項】
①硬い便や下痢便を避ける
②出血や痛みがあった場合は外用剤を使用する
③刺激物を控えめに


 

 

大腸と肛門の病気について

排便時の出血について 

 

Q.便が硬いとよく出血します。大丈夫ですか?
 

A.肛門から出血する病気の多くは、「肛門の病気」と「大腸の病気」に分けられます。肛門の病気で出血する代表例は「いぼ痔」と「切れ痔」です。大腸の病気で出血する代表例は「大腸憩室」、「大腸炎」、「大腸がん」です。一般的に、新鮮血であれば肛門から、赤黒い場合は腸からの出血と認識されていますが、必ず一致するわけではありません。便が硬い時に限って鮮血の出血がある場合は、痔が原因である可能性が高いですが、出血が頻回になったり、粘液が付くなど、症状の変化がみられる場合は、痔と思い込まずに必ず専門医にご相談ください。痔と思っていたら、診察を受けて大腸がんがみつかるというケースは、決して稀ではありません。近年、大腸がんが増えています。抵抗はあると思いますが、大腸や肛門の診察を受ける勇気が大切です。

 

表:肛門から出血する大腸肛門の病気

 

 
 
肛門の病気
 
腸の病気
 
出血の性状
 
新鮮血(きれいな赤色)
 
赤黒い血液
 
代表的な病気
 
いぼ痔
 
憩室出血
 
切れ痔
 
大腸炎
 (潰瘍性大腸炎・虚血性腸炎)
直腸肛門部腫瘤
 
大腸がん
 

 

 






 

 

肛門の病気について

排便をスムーズにする理想的な姿勢

排便をスムーズに行うために、「姿勢」は非常に重要な要素の一つです。人間の体は元々、背筋が真っ直ぐの状態では、自然に便塊が漏れてしまわないように、直腸と肛門の位置関係が直線ではなく、屈曲しています。そのため直腸まで便塊が下りてきてもすぐに肛門から出ることなく、一旦直腸に貯留され、便意が生じることにより肛門より排泄されます。
この排泄の時に必要なのが「排便姿勢」です。現代では多くの生活環境が洋式トイレですが、スムーズな排便のためには、先述した直腸と肛門の角度を直線にする必要があるのです。その姿勢は、フランスの彫刻家ロダンの彫刻「考える人」のような前傾姿勢が良いとされています。
排便が思うように出ない方は、この「考える人」のように前傾姿勢を試してみてください。ご高齢の方など、前傾がうまくできない方は足台を置くのも有効です。
ただ、長時間の排便は痔の原因になってしまうので、あまり“考えすぎない”ようにしましょう。

 

肛門の病気について

肛門掻痒症

「肛門掻痒症」は文字通り肛門周りが“かゆくなる”病気です。
肛門周囲に炎症が起きることで、皮膚がただれたり、かぶれや湿疹を伴うこともあります。
原因は、便の付着状態が続くことや、反対にウォシュレットの使い過ぎ、ペーパでの拭きすぎ、石鹸による洗いすぎなどの過度な清潔もかゆみの原因となります。カンジダによる皮膚の炎症が原因となることもあります。
予防・治療は、肛門の清潔を保つことが必要ですが、過度の洗いすぎや石鹸による刺激を加えないことが必要です。どちらかというと、後者の過度な清潔が原因となっていることのほうが多いので、かゆみが強い場合は、肛門に刺激を与えないように注意が必要です。また、体温が上がった場合もかゆみが悪化する場合があるので、風呂上がりや睡眠時には注意が必要です。
治療は外用剤(塗り薬)を使用します。ただ、刺激を与えないという生活習慣がとても重要で、これが守れない場合に治療が長引くこともあります。

 

肛門の病気について

痔の予防のために重要な5つの習慣 

 

肛門は人体のなかで、とても繊細な部分の一つです。ちょっとした便秘や冷え、アルコールなどが原因で痛くなったり、腫れてしまったりします。反対に、清潔を意識しすぎて、排便後に擦りすぎることが原因で肛門周囲の炎症が起きてかゆくなったりすることもあります。
薬で治療できる場合は良いのですが、手術が必要となる場合もあるので、痔の予防が非常に重要となります。
痔の予防の代表的なものを以下に挙げます。

 

1、便秘・下痢をしない

2.トイレは短時間で強くいきまない

3.長時間の同じ姿勢を避ける

4.おしりを冷やさない

5.アルコールや刺激物は控えめに


 

上記の5つの習慣は、痔になっている方も実践すると改善する生活習慣となります。
痔で悩まれている方は是非実践してみてください。

 

 

 

肛門の病気について

血栓性外痔核

『血栓性外痔核』は肛門の血流が悪くなり、突然腫れて痛みを伴い、血液の塊(血栓)ができる病気です。
 

血栓性外痔核は、文字通り外痔核が腫れる病気なので、肛門に押し込んでもすぐに出てきてしまいます。

大きさは個人差がありますが、パチンコ玉ほどから大豆くらいの大きさがよくみられます。よくみると青黒い血栓が透けて見えるのが特徴です。

排便時に強くいきんだ時や、激しい運動、アルコールが原因となることが多いとされます。
 

治療は、基本的に軟膏や内服薬で治療が可能です。よくネット情報などをみて、内痔核の手術についての心配をされる方が非常に多くいらっしゃいますが、肛門の奥から脱肛する内痔核とはまた別の病気となります。
 

日常生活での対応策は、
 

     湯船につかって、温める

     排便時には強くいきまないように注意する

     便秘の方は、水分を多めにとり適宜便秘薬の調整をする

     アルコールや刺激物(香辛料など)を控える

     同じ姿勢を長く続けない(なるべく歩く時間をとる)

 

特に①は重要です。反対に冷えることは肛門にとって好ましくありません。投薬後数日~ 1 週間程度で痛みはとれますが、血栓が完全に吸収されて消えるのに 1 カ月程度かかる場合もあります。

血栓が大きかったり、痛みが強い場合は、局所麻酔で血栓を除去する場合があります。外来処置で行い、日帰りすることが可能です。

 

血栓性外痔核は誰にでも起こりうる頻度の多い病気です。肛門に急な痛みや腫れを感じたら、早めにご相談ください。